ガラスの仮面のおっさん

アラフォーのおっさんがガラスの仮面を読んで聞かせる

「カーミラの肖像」ガラスの仮面・劇中作品データ

      2018/10/20

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出演:
マリア=カルンスタイン
マリア=スタンロッシュ伯爵夫人(語り手) 乙部のりえ
マリアの父カルンスタイン男爵 広畑英一
ギルド神父 中村正剛
マリアの乳母 田中照恵
家庭教師 野村幸子
     中原洋子

吸血鬼カーミラ 姫川亜弓(特別出演)

劇場:プラザ劇場

あらすじ

かつて大勢の人々に愛され明るく幸せだった少女カーミラが
吸血鬼になってしまった悲しみの話。

というか完全に主役ではない姫川亜弓演じるカーミラを追う
観客目線での描写になっているため、
本来のストーリーや主題は不明である。

乙部のりえ、悲願の本役での初主役!

付き人を装ってはマヤに近づき、数々の策謀を弄し、
そしてついにマヤを陥れることで代役に収まった乙部のりえ。
代役で見事結果を出すとついに自身の本役として主演舞台を迎えた。
しかも新人賞受賞を狙って売り出すために、
多くの演劇関係者や評論家を招待していた。

類稀なる演技力と美貌を兼ね備えた彼女。
これまでも見事なまでにダサい付き人を演じてきた彼女であるが、
さすがの初本主役ということでかなり緊張の様子。

しかも姫川亜弓からは露骨な敵意を向けられ、
また周囲の亜弓への扱いも重なり、
嫉妬と不安で怯える。

そして本番前に牛乳を6杯も飲み干すという暴挙。
幕は上がり、稽古では見せなかった姫川亜弓の演技に驚き飲まれたのであった。

怒れる姫川亜弓

姫川亜弓、今回は主役ではない。
これまでも主役だけでなく様々な役に挑戦してきたが、
それは紅天女への道と位置付け、様々な役を演じる力を養うという目的のものであった。

しかし今回脇役しかも悪役ともいうべき吸血鬼役を買って出た目的、
それはただただマヤの仇を討つというそれだけのためである。

北島マヤ芸能界追放事件の黒幕が乙部のりえであることを知った亜弓は、
自らが認めた唯一のライバルが、卑怯な手で葬られることを良しとせず、
ライバルが万全の状態で正々堂々と競い合った上で紅天女を手にするため、
その卑怯な役者に鉄槌を食らわせ、マヤの仇を討つべく、
あれほど嫌っていた親の七光をあえて使い、
業界に顔が広い父親のコネを使って脇役へとねじ込んでもらったのであった。

それだけではなく、稽古場では挨拶にきた乙部のりえに悪意に満ちた挨拶を返し、
稽古ではあえて演技を抑え、
そして本番では稽古とは違う芝居を行うのだった。

「舞台の上では才能と実力だけがものを言う。」
「卑怯な役者は許せない。」

なんども彼女が心の中で呪文のように唱え続けた言葉である。
舞台上に私情を持ち込んだ上、
本番で相手を出し抜くようなやりかたも卑怯ではないだろうか。

かたきはとったわよ

のっけから姫川亜弓の演技に支配された劇場。
稽古とは異なる芝居にペースを乱され完全に食われる乙部のりえ。
主役のマリアは、悪役の吸血鬼カーミラに完全に食われ、
今や観客はカーミラの物語としてこの話に没頭。
主役の乙部のりえは完全に存在感を消され、敗北を悟るのだった。

しかもカーテンコールでは客席からのサプライズ登場。
観客は姫川亜弓演じるカーミラに熱狂、
乙部のりえを売り出すために招待された評論家や重鎮は
完全に姫川亜弓に食われた乙部のりえを酷評。

「仇はとったわよ。マヤ。」

頼まれもしないのにライバルを陥れた卑怯な役者を葬るため、
親の七光りをフル活用し、
自らの私情を舞台上に持ち込み、
稽古無視のぶっつけ芝居で相手を食うという
考えようによってはこの上ない卑怯な手段で目的を達成したのである。

まとめ

マヤを陥れた乙部のりえ。
しかし自身が姫川亜弓の足元にも及ばないことを思い知らされ、
どうじに姫川亜弓がライバルと認める北島マヤの実力を相対的に思い知り、
茫然自失となり、業界半追放のような形に追い込まれたのであった。

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