「おんな河」ガラスの仮面・劇中作品データ
2016/09/24
栄進座「おんな河」
出演:
原田菊子
子守のたず 北島マヤ
他栄進座団員
演出:鈴本先生
劇団つきかげが実質解散に追い込まれ、
芝居に飢えていたマヤ。
劇場映画「白い青春譜」や学校の演劇部の発表会などに出演。
そして月影先生の入院費用を手配してくれたのが
紫のバラの人だと知り、ますます芝居への情熱が高まる。
そして中学生にもかかかわらずあちらこちらの劇場を回り、
自ら営業をかけたのだった。
もちろんなかなか相手にされないがふとした一言がきっかけとなり、
栄進座舞台「おんな河」への出演を勝ち取ったのだった。
おんな河・あらすじ
明治時代、封建的な田舎の旧家に嫁いだ主人公・志乃。
愛情の薄い夫や、家名だけを重んじる姑たちの中で
次第に女として人間としての自覚に目覚め、
やがて使用人の民次と恋に落ち家を捨てて駆け落ち・・・
以後封建的な時代の中にあって真実の自分の道を求めて
波乱万丈な人生を生きるという話である。
なんだかおもろそうやん。
朝ドラにはドロドロしすぎているので
夏休みに花王愛の劇場でやってほしい。
オープニングは芥川隆行さんのナレーションだったら見入ってしまう。
とまあなかなか大人な内容の劇だけに、
劇場も立派で、チケットも高そうだ。
客層も年配のシニア層が中心。
観客もまた、真実の自分の道を求めて
波乱万丈な人生を生きたい人たちなのだろう。
紅天女の威光・衰えず
無鉄砲にも自ら劇場回りをし、
不法侵入すら犯し、大劇場で公演中劇団の代表や演出家に自らを売り込むマヤ。
当然中学生、相手にすらされず、
栄進座でも当初追い返されてしまうのだった。
その様子を見ていた栄進座の座長・原田菊子。
当初は無鉄砲なマヤにあきれていた様子だったが、
マヤが劇団つきかげにいること、
そして月影千草がマヤを評して
「紅天女はまだ無理」
といったその一言を聞き様子が変わる。
演劇界においては紅天女・月影千草の名はいまだ轟いており、
その紅天女の素質があると見込んだことを
原田菊子は瞬時に悟ったのである。
ここからが大変。
「次にあの少女が来たら私の元へ通してちょうだい!
わかったわね!!」
いきなり激怒かよ。
わけのわからないまま劇団員たちはマヤを探すはめとなったのだ。
マヤは再び栄進座を訪れ、
原田菊子の圧迫面接と無茶振りを経てその素質を認められる。
原田菊子の弟子・結城麻江が身勝手な芝居をすることへの懲罰も含め、
子守のたず役を勝ち取ったのだった。
マヤの無鉄砲とも思える行動力もすごいが、
劇団つきかげの看板なくしては原田菊子の目に止まることもなかったであろう。
やはり演劇界においては紅天女のネームバリューは絶大なのである。
マヤ、「舞台あらし」の二つ名を襲名
見事代役を勝ち取ったマヤ。
稽古ではその芝居スタイルの違いから原田先生以下周囲を驚かせるも
その芝居センスを徐々に見せつける。
次第に芝居にも馴染みはじめたが、
その目立ちっぷりに周囲は危ういものを感じていたのである。
そして本番。
役を降板させられた麻江の陰謀により、
子守人形の首がもぎ取れるというハプニング。
しかしそれをアドリブで切り抜け場内は大爆笑の大喝采。
百戦錬磨の原田菊子もマヤの舞台度胸を並ではないと評価。
日が経つにつれ、マヤの演技は一層なめらかになっていった。
しかし不思議と観客をひきつけるその妙な存在感に
原田菊子はマヤの起用は今回限りと決めたのだった。
「舞台あらし」
原田菊子はマヤの実力をそう評価し、
そして栄進座を守るためにマヤを切ったのだった。
後日月影先生は
「それでこそ栄進座の原田菊子」
とその慧眼を評している。
あくまでもマヤを栄進座の一員として全体の調和を考えた原田菊子。
マヤを自らの後継者として考えていた月影千草。
「やがて世間はあの子を認めないわけにはいかなくなる」
お互いマヤの才能を認めつつも、その評価やゴールが異なるのがおもしろい。
そして舞台あらしのマヤは、客席の謎の関係者の目に止まり、
次なる出演を勝ち取ったのである。
恐るべし栄進座、恐るべし原田菊子
しかしこの栄進座、劇団つきかげに引けをとらない恐ろしさである。
そもそも演出家の鈴本先生なる方がいるのだが、
完全に原田先生に気を使っている。
「麻江が私の弟子だからといって遠慮なく叱ってください」
稽古場では弟子の麻江を誘導尋問にも似た説教と圧迫する顔面で追い詰め、
挙げ句の果てにはマヤとのキャスト交代を独断で決定。
絶大なるキャスティング権限も持っている様子。
んなもんこんな恐ろしいおばはんの弟子やったら遠慮するにきまっとるわ。
月影千草と原田菊子。
演劇界の大御所はこんな恐ろしい人しかおらんのか・・・おらんのか・・・